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喫茶ま・ろんど

TSFというやや特殊なジャンルのお話を書くのを主目的としたブログです。18禁ですのでご注意を。物語は全てフィクションですが、ノンフィクションだったら良いなぁと常に考えております。転載その他の二次利用を希望する方は、メールにてご相談ください。

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目覚めるロリコン1

 ちゃぶ台の上に透明なペットボトルが置いてある。中の液体も透明であるため、ボトル越しに向こうの景色が透けて見える。無論、屈折して歪んでいるため、到底まともな景色ではないが。
 その歪んだ景色の中に、かろうじて眼球と判断出来るモノが見える。
 光がその身体を右にずらすと、今度は歪みの無い、真剣なまなざしが飛び込んできた。
「この通りだ。俺を助けると思って。一生のお願いだ。頼む!」
 目が合ったのを見計らってか、隆司がわざとらしい土下座をする。
「しかしだなぁ……」
 隆司の願いに抵抗がある光は、語尾を言い淀ませてなんとか誤魔化そうとする。
「こんなこと、親友のお前にしか頼めないんだ。分かるだろ? どうか俺の童貞を貰ってくれ。頼む!」
 頭を地面に押し付けたまま、隆司が再び光に言葉をぶつける。「頼む」と言うのはこれで五度目だ。
 一度目は、光がドアを開けた直後の一言。
「頼む! 光、何も言わずにこの液体を飲んでくれ!」
 即答で拒否した光に対して、部屋の中で事情を説明し、その最後に言った言葉が二度目。
「――というわけで、この液体を飲むと女になれるんだよ。だからお前にこれを飲んでほしいんだ。そして、俺の童貞を貰ってくれ。頼む!」
 何で俺なんだ。そんな疑問に答えて言ったのが三度目。
「俺、内気だから他の人となんて緊張して喋れもしないんだよ。だから他の人には頼めなくてさ……。でも、それじゃあ俺、間違いなく一生童貞だよ。だからさ、なあ、頼むよ」
 そして、土下座と共に言った四度目と五度目だ。
「……分かったよ。今回だけだぞ」
 親友の思いに心動かされ、光はしぶしぶと首を縦に振った。
「本当か!? ありがとう!」
「ただし!」
 頭を上げて光の手を握ろうと近寄って来た隆司を遮る。
「条件がある。俺はこの液体を飲むだけだ。それ以上は何もしない。手でしてくれとか口でしてくれとか頼まれても全部お断りだ。俺は、声も出さんでベッドにじっとしているだけだから、普通のセックスは期待するな。分かったな」
 それは、自分が男に弄ばれる気持ち悪さに耐えるための最大の譲歩だった。それが親友との行為だとしても、光にとっては気持ち悪い行為であることに違いは無い。
「うん、ありがとう、充分だよ。本当にありがとう」
 隆司は満面の笑みを浮かべて、今度こそ光の手を握る。
 その笑顔に、光は少しばかり気分を良くする。それがどんな形であれ、親友が喜んでくれるというのは、光にとっても嬉しいことなのだ。

「ん……。味はないんだな。水と変わらん」
 ボトルの中身を一気に飲み干し、光が感想を言う。
「そうなのか。見た目も透明だし、本当に水と分からない感じだな」
「案外、騙されてただの水を買わされたんだったりし――」
 不意に光の口が止まる。
 直後、光の体に変化が現れた。身体が見る間に小さくなっていく。それに伴い顔立ちも幼くなり、それでも身体の縮小は止まらず、どんどんと若返って行った。
「ひ、光、大丈夫か!?」
 ブカブカになったズボンは、自然と腰からずり落ち、その下に履いていた縦じまのトランクスが丸見えになる。しかし、身長の縮小に伴い上着の裾の位置も下がり、あっという間にトランクスを隠してしまった。
 やがて、縮小の速度が徐々にゆっくりになり、完全に止まった時、そこには、どうひいき目に見ても大人とは言えない小柄な少女が、サイズの合わない男物の服に包まれて突っ立っていた。
「……これは、どういう事だ」
 先程までと違う、舌の回りきらない口調で光が呟く。
「女になる液体、っていうのに間違いはなかったみたいだけどね……。女と言うより女の子、って感じだけど」
「女の子どころじゃないだろ、これじゃ幼女だ!」
 光は腕を振り上げて抗議するが、その手は完全に服の袖に隠れて見えない。ぶんぶんと振り回される腕に合わせて、服の袖だけがまるで鞭のように宙を舞った。
「……ったく、とにかく失敗だな。これじゃあ到底セックスなんぞ出来んだろ」
 ふう、と溜め息をついて、光がその場に座り込む。無造作に取ったあぐらのポーズからは、確かに、見た目とは違う男っぽさが感じられた。
「……いや、そう決めつけるのは早いだろ」
 隆司の呟きに、光が顔を歪める。
「おま……まさか、そっちの趣味が」
「いやいやいやいや、そうじゃなくて。この液体、高かったんだよ。だからすぐに諦めるのはもったいないなあ、と。試すだけ試してから諦めても悪くないんじゃないかなと思ってさ」
 後ずさる光を追って、隆司がにじり寄る。
「試すまでも無い。無理だ、ていうか嫌だ。中止だ、中止」
 光の後進は、すぐに壁に遮られる。しかし、当然ながら隆司の前進が止まる事は無かった。
「一回言った事を撤回するのは男らしくないぜ、約束……しただろうが!」
「うわわああ!」
 隆司に背中を見せながら立ち上がろうとする。が、それが間違いだった。
 背中を見せた瞬間、光の上に、背骨が折れるかと思える程の重量が押しかかってきた。
 実際には、隆司の体重はそれ程重くは無い。むしろかなり軽い部類に入るのだが、今の光にとっては相撲取りにのしかかられたかのような重さに感じられた。
 事実、光は、その重さを全く支える事が出来ず、いともたやすくその場に腹ばいで倒れ込み、ぐえ、と小さく呻く事となった。
「わ……か……」
 分かったから離せ、と言いたくとも、呼吸のままならない光は喋ることすら出来ない。
「わ、わ、ご、ごめん」
 慌てて隆司が起き上がる。
「げほ……。ったく、気を付けろ」
 胸をさすりながら光が悪態をつく。
 ふと、光は、その手の平の先に、男とは違う――殆どないに等しいが――柔らかい感触を感じ取り、自分が女になったのだということを実感した。
「どした?」
 そんな光の気持ちを鋭く感じ取り、隆司が質問する。
「なんでもねえよ。それよりほら、やるんならさっさとやるぞ」
 誤魔化すように、光は上着を脱ぎにかかる。しかし、体に合わない巨大なサイズの洋服は、思うように脱ぐことが出来ず、随分と手間取る。
「ほら、手伝ってやるよ、こっちこい」
 十秒たってもボタン一つ外せない光に業を煮やし、隆司は光の腕を引っ張ってベッドまで連れて行った。
「とっとっと……」
 たどたどしい足付きで隆司に誘導されるままにベッドに腰掛ける。
「ほら、じっとしてろ」
 そう言って隆司は、素早く光の服からボタンを外していく。
「なんか恥ずかしいな……」
 見た目が見た目とは言え、いい歳をして子供扱いされることに気恥ずかしさを覚える。
 そうこうしている間に、ボタンが全て外される。
「よし、完了と。じゃ、脱いでくれよ。早く、早く」
 最早ヤることしか頭にない、実に嬉しそうな表情で手を擦り合わせる隆司の姿に、光は閉口する。しかし、約束をした手前、不満を漏らすことも出来ず、しぶしぶと服を脱いだ。

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