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ようやく我に返り、当初の目的を思い出した。部屋にあった姿見を見て、初めて自分の今の姿のおかしさに気付く。上半身は丸裸なのに、腰から下にはヒラヒラとした足首までのロングスカートが伸びている。スカートの裾からからわずかに見える足が黒いのは、タイツなのかストッキングなのか。
再び深呼吸をした。ブラをはずす時も緊張があった。それは、スカートを脱ごうとしている今も例外ではなかった。
数度、ゆっくりと深呼吸をしたが、いつまでもそうしているわけにはいかない。ようやく覚悟をきめ、スカートとその下のタイツ、そして下着にまで指をかけ、まとめて脱ぎ下ろした。
裸になって最初に実感したのは、タイツが思いのほか足を締め付ける道具なのだという事。そして、スカートで隠れて分からなかったが、尻が相当に大きい事。ついついその尻に目を奪われ彼は、先ほどと同じように尻を掴み、持ち上げ、揺らして遊んでしまった。さすがに一回やっただけで反省した彼は、改めて姿見に向き合った。
「え……! 毛、生えてない!?」
一瞬かなり焦ったが、すぐにそれが勘違いだった事に気付く。
「あ、な、なんだ。金髪なのか……。そうだよなぁ、髪の毛がこれだし…」
言いながら股間の毛をつまみ、指先でもてあそぶ。
毛が生えていると安心はしたが、よくよく見てもかなり量が少ないように感じる。
少しずつ気持ちを落ち着けて、改めて体の観察を始める事にした。
まず足。最初に会った時は、細見の外見から、足も細いだろうと勝手に思い込んでいたが、こうやって見てみると、太ももは想像以上に太い。確かに足首などは人形のように細いが、足の付け根に近づくにつれ、非常に女性らしい丸みでもって、いやらしいシルエットを作り出していた。一瞬、タイツを脱いでしまったのは勿体なかったかな、などと、一部の人にしか分からない後悔をし、目線を上げる。
次に尻。先ほども感じたが、かなりの大きさがあり、やはり、華奢な腕や腰との対比で、相当ないやらしさを作り出していた。
更に目線を上げ、胸。見てみると改めてその大きさが実感できた。Eカップなのか、Fカップなのか、それとももっとあるのか…。彼には知識もないためさっぱり分からなかったが、明らかに「かなり大きい」部類に入る胸である事は確実であった。
そして最後に顔。
まじまじと見つめるが、どうしても自分の面影が見られない。髪も金髪縦ロールだし、本当に並行世界の自分なのか、全く自信がなくなってくる。顔は小さいのに、目は非常に大きく――化粧でそう見えるだけであったが、そんな知識はもちろんあるはずも無く――眉は綺麗に整えられて、歯並びは美しく、二本だけ突き出ている牙が不思議なギャップを生みだしていた。
「……え、牙?」
そこでやっとおかしい事に気付く。
「な、なんだよ、これ!?」
戸惑いながら指で牙をなぞる。確かに他の並んだ歯よりも突き出た鋭い感触。見間違いじゃあない。
そこではっと思いだすあの言葉昼間は外に出られない。灰になるから――。そしてこの牙。
「……吸血鬼?」
まさかこっちの世界の自分は、性別が違うどころか人間ですらないのか。そんな予感に恐怖を覚え、一気に興奮が吹き飛んでしまった。そして、現状が相当に危険な状態なのだとようやく気づき、改めて真剣に部屋の探索をする事に決めたのだった。
「さて、どこから探るか……」
とりあえず考えなしに、机の引き出しを開ける。
「うぉ、こ、これ……!」
驚いたのも無理はないだろう。机の中には、色々な種類の「特殊な道具」が詰まっていたのだ。
「これはバイブ……だよなぁ。でもってこれは……、もしかして浣腸? うわっ。これとか、何に使うんだよ……」
女性経験が無い彼には、それらの道具の使い道がほとんど分からなかった。ただ、そこにある物が全て、いかがわしいものなのだろうという事だけは、なんとなく感じ取っていたが。
「バイブ……かぁ」
ふと、最初に目に入ったバイブを手に取る。
形を見ると、細長い棒の全体がでこぼことしており、たやすく卑猥なイメージが連想された。
電池が入っていたのだろう。スイッチの存在に気づき何気なく触れてみると、モーター音を響かせ震えながら、先端がうねうねと動き出した。
「うわっ、すご……!」
慌ててスイッチを切ると、一瞬で部屋に静寂が広まった。
しかし、バイブへの関心は治まることなく、先ほどの動きを思い出しながら、確かに胸を高鳴らせていた。
「うぇ、ゴムくせぇ……」
もしかして、あの女がこの体でオナニーに使ってるのかも……。そう思うと、つい、匂いをかがずにはいられなかった。誰かが見ていたら、明らかに変態だと思うのではなかろうか。
「あ、でもこれ、あの女のなんだよな……。ってことは、この体……」
その先を想像すると、もはや好奇心は膨れ上がる一方だった。
使ってみたい。そんな気持ちで頭の中が一杯になり、再び探索という重要な行動を頭から追いやってしまった。
今はそれどころじゃないはずなのに、なんでこんな事しようとしているんだろう。
そんな疑問が頭の隅に浮かんではいたが、それもすぐに些細な事だと感じてしまい、バイブを使う事を決断した。
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