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喫茶ま・ろんど

TSFというやや特殊なジャンルのお話を書くのを主目的としたブログです。18禁ですのでご注意を。物語は全てフィクションですが、ノンフィクションだったら良いなぁと常に考えております。転載その他の二次利用を希望する方は、メールにてご相談ください。

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彼は並行世界で金髪縦ロールのサキュバスのようです1

今はなきTSF支援所チャットより。
「○○さんは並行世界で金髪縦ロールのサキュバスのようです」
を書いてみた。
一発ネタで始めたつもりだったのに、なんだかんだと書き終わらず、
前後編どころか1と表記する始末。
果たしていつ書き終わることやら。

というわけで、どうぞ続きからお読みくださいませ――。



 ひょんな事から巻き込まれてしまった並行世界。あらゆる物が元の世界と同じなのに、一つだけ明らかに違うものがあった。
 こっちの世界の自分も同じなのかと向かった家。
もう一人の自分がどんな反応をするのか心を躍らせながら扉を開けると、そこには、自分とは似ても似つかない金髪縦ロールの女が住んでいたのだ。
「あら、あなた……もしかして私? 同じ匂いを感じる……」
 そのさりげない動作にドキリとした。自分が女慣れしていないというのもあったが。こんな美人が顔を近づけ、匂いをかいだという行為に無性に興奮してしまったのだ。
「ちょうど今夜は男の精が必要だったのよね。あなたなら私だし、他人に手を出すよりは面倒が少なそうだわ。いらっしゃいな。自分の家なんだから勝手は知ってるでしょ?」
 言いながら女は手を招き、家に呼び込んだ。
 そこに見えた景色は、当然と言えば当然なのかもしれない。本来の自分の家とは違い、ヒールのある靴が幾つも並んで、玄関をカラフルにしていた。
 そして、玄関に一歩踏み居ると匂いにも気が付いた。本当の家と違い埃っぽさを感じず、代わりにいかにも女性が好みそうなアロマの香りが広がっていたのだ。
 こうなると、部屋も全く違っているのだろうと考えてはいたが、全く予想通りだった。ベッドや机の配置こそ同じものの、布団のカバーはピンク色で可愛らしい猫のイラストがプリントされている。カーテンもまた、シンプルな猫のイラストがあしらわれたファンシーなものであったし、部屋の中心には、どこで売っているのだろうか、猫の形をした絨毯まで敷かれていた。
「まだ日は高いけど……。気付かれる前に拘束だけしておいた方が後々楽かしらね……」
 女のその呟きが聞こえていれば、踵を返し逃げ出そうとしただろう。もっとも、玄関に足を踏み入れた時点で手遅れではあったのだが。
「あ、あの。俺、まだ良くわかってないんですけど……。何がどうなってるんですか?」
 緊張の為だろうか、普段は使わないような敬語を使っている自分に妙な違和感を覚えながら、女の返事を待った。
「分からなくても良いのよ……。ほら、もう結構嗅いでいるのだし、眠くなって来たでしょう?」
 言われてはっと気づいた。妙に身体が重い。動けないと言うよりも、動く気力をそがれたような感覚だ。やがて、その感覚に後悔する程にも頭が回らなくなり、ゆっくりと瞼を閉じていった。
 はっと目が覚める。何時間寝ていたのかと思い腕に目をやるが、何故か時計が付いていない。つけ忘れたかと思い部屋を見回し、やはり猫のデザインをした妙に可愛らしい壁掛け時計を見ると、意識を落してから一分もたっていなかった事が確認でき胸を撫でおろした。
「ふぅ、なんだったんだ……」
 そう呟いて気持ちを落ち着けた瞬間、初めて違和感に気付いた。
 さっき見た自分の左腕。時計が付いていないのは良いとして、何故爪にマニキュアが塗られているのか。改めて自分の左腕を見る。見間違いではない。確かにマニキュアで紅く染まっている。しかも、よくよく見てみるとそれだけではない。腕も指も妙に細長く、薬指には身に覚えのない指輪まで付いているではないか。更に体の方にまで目を持っていくと、さっきまで女が着ていたはずの、えらく豪華な、黒いドレスのような服を身に纏っているではないか。
「あら、やっと気付いた?」
 野太い声なのに女口調――オカマのような声のした方を見ると、
そこには安っぽいジーンズにチェック柄の味気ないシャツを着た、いかにも身なりに気を使っていない、普段の自分の姿が確認できた。

「私、昼間は外に出られない体質なの。だからちょっとあなたの身体借りるわね。あなたは諦めて夜までじっとしていて。家の中なら幾らでも自由に動けるから」
 この事態に混乱する姿を尻目に、目の前のもう一人の自分はまるで女のようにしなを作り、意に介さぬように言葉を続けた。
「やっぱり自分は馴染むわぁ。あっという間。いつもこれくらい楽なら良いのに……」
 腕を頭の上まで伸ばし、手首をプラプラと振りながら目の前の自分はにやりと笑った。
 何とか気持ちを落ち着けようとしながら、目の前の自分の存在について考えた。女のような腕と服装の自分。目の前にいるもう一人の自分。辿りつける結論は一つしかない。自分と女が入れ替わってしまったのだ。
「じゃ、ちょっと出掛けてくるわね。どうぞゆっくりくつろいで」
 冷静さを取り戻す前に、目の前の自分はそう言いながら部屋を後にしてしまった。焦って追いかけようとするが、ヒラヒラとしたロングスカートが足にまとわりついて実に走りにくい。階段を降りるときには、思い切り裾をふんづけて前のめりに転げ落ちてしまった。
「あらあら。そんな脆い体じゃないけど、気を付けてね。服は替えが少ないから、破けると困るの」
 その声は数メートル先の玄関の外から聞こえてきた。慌てて追いかけるが、玄関口まで辿りついたところで、突如言い知れぬ恐怖感が沸いてきた。上手くは説明できないが、玄関から出る事が死につながるような――。
「さっきも言ったけど、昼間は外に出られないのよ。灰になりたくなかったら我慢して頂戴、ね?」
 その無茶苦茶な言葉は不思議と素直に受け入れる事が出来た。後ほんの少し手を伸ばせば届くはずの自分を捕まえるのを諦め、ゆっくりと閉じていく目の前の扉を眺めてしまった。

 扉が閉じて暫くの間、なんとかして扉を開けようと試みたが、どう頑張っても恐怖感がぬぐえず、やがて肩を落とし諦めた。そうなると、なんとか現状を認識するため今行動が可能なこの家の中を出来るだけ探索しようと考えるのは当然だろう。
 真っ先に頭に浮かんだのは、自分自身の体であった。身近でありながら全く分からないもの。
そう考えれば、当然の選択なのかもしれない。部屋に戻り、深呼吸しながら上着に手をかける。
今は自分の体であるのだが、慣れない女の体に妙に緊張する。
 意を決して上着を脱ぐと、そこにはフリルのついたやはり黒いブラと、想像以上に豊満な胸が目に飛び込んできた。
「着やせしてるなぁ……」
 そんな、現状に全く関係ないであろう感想を呟きながら、ゆっくりと胸を両手で包み、持ち上げてみた。
「うわ。重っ! こんなに重いのか」
 まるで赤ん坊一人抱えて生きてるみたいだな、などと考えながらしばらく胸を上下する作業に夢中になっていた。
 やがて、その上下する胸の中身が気になりだした彼は、ブラジャーをはずすため、背中に手を伸ばした。
「あれ? なんだ、ホックがない?」
 背中にばかり集中し、フロントホックの存在に気付くのに、たっぷり3分はかかった。大きいサイズのブラであれば珍しくは無いのだが、女慣れしていない彼には、理解しづらかったのだろう。
 フロントホックに手をかけた自分の手は、緊張のあまりふるえていた。そして同時に、過去に体験したことが無いほどに鼓動を高めていた。

 一度ゆっくりと深呼吸をして、覚悟を決めてホックをはずす。
「うぉっ!?」
 肩にかかる重さに驚きの声を上げる。ブラが外れ胸が揺れた瞬間、想像もしていなかった重さに引っ張られ、前かがみになってしまったのだ。
「ブラって大事なんだなぁ……。初めて知ったよ……」
 自分に言い聞かせるかのように呟くと、改めて両手で包み持ち上げてみた。先ほどブラ越しに持ち上げた時と違い、指が肌に吸いつくような柔らかさを感じ取る事が出来た。まるで子供がおもちゃを与えられたかのように好奇心を向ける。軽く持ち上げては手を離し、揺れ動く様子を観察という動作を繰り返すその姿は、傍から見る事が出来れば、相当に間抜けに見えたことだろう。もっとも、目の前の景色に夢中になっている彼にとっては、そんな事は意識の外であったが。

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