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男どもの要求をますます過激なものにさせていった。
次の日からはもう、当たり前のように皆、生で触りたいと言うようになった。
どいつもこいつも、同じように手を汗ばませ、震わせながら、
俺が止めろと言うまでひたすらに揉み続けた。
そして、それを皮切りに、要求は多岐に渡るようになっていった。
胸が見たいと言われた時は、触られずに済むからかなり楽だった
その姿を写真に撮りたいと言われたので、少し抵抗はあったが、別料金で撮らせてやった。
陰毛が欲しいと言う奴も何人かいた。
こんなもの、なんで欲しがるんだと思ったが、金になるならと思い売ってやった。
これを続けたら毛が無くなっちまうんじゃないかと、くだらない心配をした。
そして…、問題の日はやってきた。
「下着…?」
「そう。今履いてるやつを売ってくれよ」
なんか、援交の女子高生と間違われてないか?
しかしまぁ、直接体に触られないタイプの頼みは、かなり気楽なものだ。
「んじゃあ、脱いでくるから待ってろよ」
「あ、おいおい!どこ行くんだよ」
そう言ってトイレに向かおうとする俺を慌てて引き止める。
「…目の前で脱げ、だって…?」
冗談じゃあない。
スカートならまだしも、俺は、以前と変わらず学ランを着ている。
その俺が目の前で脱ぐということは…。
全部、見られてしまうということじゃないか。
「常識だろ。下着が欲しいって言ったら、ちゃんと目の前で脱ぐもんだ」
さも当然のように話すが、そんな常識は初めて聞いた。
さすがにそんな真似は出来ない、と言ったが、そいつは納得しなかった。
「一度は引き受けたんだから、責任もってちゃんとやれよ!」
引き受けたのは下着を売る件だけであって、目の前で云々は全く別の話だ。
そう反論したかったが、苛立ちが混じった声に恐怖を感じ、言葉が出なかった。
「ほら!」
いつまでも動こうとしない俺にイライラしたのか、俺のズボンに手をかけ、無理やり脱がそうとする。
「わ、分かった!分ったから!自分で脱ぐから離せよ!」
慌ててズボンを掴んだ手を払い、一歩距離を取る。
…とは言ったものの、かなりの抵抗がある。
しかし、自分でやらなければ、どんな目に遭わされるか分ったものではない。
「せめて…後ろ向きで良い?」
恐る恐る訪ねた。
また怒鳴られるんじゃないか…そんな事を考えながらの質問だった。
しかし、そんな俺の不安は杞憂に終わった。
「あぁ、もちろん構わないぜ。キヨの可愛いお尻が見られるしな」
そうやっていやらしそうに吊り上げる口元…。
最近忘れていた嫌悪感が再び心の奥に沸き上がった。
後ろを向いて、ベルトに手をかける。
まさか押し倒してくる…、なんて事は無いだろうが、
後ろを向く事で、相手から目を離してしまうのが無性に怖かった。
ベルトを外し…意を決してズボンを脱ぐ。
目線だけ、振り向かせると、相変わらずニヤニヤと笑いながら、俺の太ももあたりを見つめていた。
「あ、あんまり見るなよ…」
こんな弱々しい言葉しか吐けない自分が情けなかった。
早く…早く終わらせてしまおう。
そうすれば、この嫌な気分から逃れられるかもしれない。
そう思って、目を合わせないよう意識しながら、下着に手をかけた…が、
「ちょっと待てよ」
体がビクッと震える。
まだ何か問題があると言うのだろうか。
「せっかくだからさ、シミ、付けてよ」
え…?
何を言ってるのか、良く分らない。
「だからさぁ…こうやって!」
いつの間にこんなに近づいていたのか。
背中から手を回し、股間に指を押し付けてきた。
「キャッ!ちょっ…!やだっ!!」
咄嗟に払いのけようとするが、今の俺の力ではとても男には敵わない。
股間に押しつけられた指も、痛みを感じるほど力が強く、ひたすらに気持ちが悪かった。
「ひっく…。うぅ…」
触られていたのは5秒ぐらいだっただろうか。
それ以上何かをされたと言うわけではなかったが、とにかく、怖くて、悔しくて…。
俺は涙を流していた。
「悪かったよ、キヨ、泣くなよ」
そう言ってはいるが、悪びれた様子は全く感じられない。
「だって、お前が悪いんだぜ?いつまでもだらだらして、全然進まないからさ」
そんなこと言われても困る。後付けで無茶苦茶なことを幾つも言ってきたのはそっちじゃないか。
「ほら、続きは自分でやってくれよ。嫌だろ?」
続き…?続きって何だ?
…そうだ、シミを付けるんだった。
やらなきゃ、またひどい目に遭わされる…。
嫌だけど、なんとかやって、さっさとこの嫌な時間を終わらせてしまおう。
頬を伝う涙を拭いながら、自分の股間に指を擦りつける。
はたから見たらなんて間抜けな姿だろう。
しかし、そうしなければ今度は何をされるか分かったものではない。
できるだけ何も考えないようにしながら、俺は黙々と股間を指で擦り続けた。
「ひっく…。もう…いい…?」
下着を擦る指先に結構な湿りを感じる。
見て確認はできないが、恐らく、かなりシミがついていることだろう。
「そうだな、十分だよ。ありがとう」
本当に感謝してるのか疑問だったが、そんなことはどうでもよかった。
ただ、ただ、やるべきことを終わらせて、さっさとここを離れたかった。
ようやく、下着に手をかける。
「…せっかくだからもっと近くで脱いでくれよ」
「……………はい」
手を伸ばせば簡単に触れられる。
そんな距離で下着を脱ぐのは怖かったが、やはり、何も言えず、素直に従うしかなかった。
脱いだ下着には、思ったほど汚れは付いていなかった。
シミを付け直せ、と言われるんじゃないかと思ったが、何も言われなかった。
恐らく、シミが付いた下着が欲しかったという訳ではなく、
シミを付けている姿を見たかった…、というだけの話だったのだろう。
一種の「男心」という奴なんだろうか。
今の俺には、それは全く理解できなかった。
ただ、理解はできないが、もう級友達の頼みを聞くのはやめよう、と、
一人取り残された教室で決めたのだった。
しかし…もう、手遅れだった。
次の日、もう頼みを聞くつもりはないと、言い寄ってくる男共に言ったのだが、
「金は払う」と、奴らなりの正当性を振りかざし、俺の願いを受け入れようとしなかった。
金を払うのだから、それに見合った事はする権利がある。
そして、昨日まで金を受け取っていたのに、急に断るのは理不尽だ。
と、判を押したように皆同じ主張を俺に突き付けてきた。
そうなのだ。
あの日、初めて金を受け取ったあの瞬間から俺は、何をされても文句が言えなくなってしまったのだ。
少なくとも、奴らにしてみれば、文句を言う俺の方が筋違い。
いつの間にか、そういう風潮になってしまっていたのだ。
そして、日々要求の中身が過激になっていくことで、感覚が麻痺してきているのだろう。
最初のころは、申し訳なさそうに手を、そして声を震わせながら触ってきていたのに、
今では、誰もかれもがいやらしくニヤニヤと笑いながら、触るようになっていた。
恐らく、最初の要求をちゃんと突っぱねていれば、こんな事にはなっていなかっただろう。
このまま続ければ、最終的には性行為まで要求されるかも知れない。
そんな最悪の想像が頭を駆け巡る。
早急に何とかしなくては…。
そうだ、今日家に帰ったら親に相談しよう。
そして、明日からもう登校しないで転校手続きを進めてもらい、転校してしまおう。
それが一番確実で安全だ…。
しかし、その日の放課後…。
その「最悪」は、想像以上の形で降りかかる事になった。
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