新しい記事を書く事で広告が消せます。
「みぃんな同じ。入れ替わった後で目の前から姿を消すと、必ず一人で始めちゃうの。知らなかったでしょうけど、どこを漁っても道具が見つかるようにしてあるのよ」
言いながら、バイブを軽く押しこむと、相当濡れていたのだろう。タイツ越しにもぐちゃりとしたいやらしい水音が聞こえた。
「はぅ……っ! ご、ごめんなさい……」
体を震わせながら、何故か謝ってしまった。この体になってしまってから、無性に快楽へ興味が沸いているし、少しおかしい。
「まぁ、良いんだけど。何と言ってもサキュバスの体だものね。人間が我慢できる訳ないわ。それに、前戯の手間が省けたと思えば良いだけだし」
サキュバス? 吸血鬼じゃないのか。そんな事を考えていると、いつの間にかタイツに手が掛けられ、するりと脱がされてしまった。それに一瞬遅れて、タイツで支えられていたバイブが抜け落ちた。
「ふふ。こうやって見てみると、本当に前戯はいらなそうね。とりあえず一回、してしまいましょうか」
その言葉の意味するところは、容易く理解する事が出来た。目の前の自分がそんな事を言いながらパンツをおろし、既に大きくそそり立ったモノを見せてきたからだ。
「触ってもいないのに、あなたを見てただけでこんなに硬くなっちゃって……。よっぽど溜めてたんでしょ。嬉しいわぁ。何回楽しめるかしら……」
意識は男だ。流石にそれは抵抗があると思い、たち上がって逃げようとしたが、それより早く体の上にのしかかられた。
「ふふ。逃げちゃだーめ。あなただけ楽しんだんじゃ、ずるいでしょ」
言い終わると同時に、バイブよりも太い感触が股間に伝わる。熱を帯びていた事から、挿入されたのだという事が理解出来た。
「ひぁ!」
自然と情けない声が漏れてしまう。それと同時に、こんな訳の分からない初体験だなんて、と思い、少し悲しい気分になった。
「あら、あなた童貞だったの? こんなに立派なもの持ってるのに、もったいない」
こいつは心まで読めるのか。一瞬は驚いたが、それも不思議じゃないのかも知れないな、と思った。そこからはもう、快楽に身を包まれ、何かを考えるような事には頭が回らなくなってしまっていた。
「うぁ! や、やめてください!」
快楽に耐えきれず咄嗟に懇願してしまう。バイブの機械的で乱暴な動きと違い、的確にポイントを突くその動きは、バイブ以上の快楽を伝えてきていたのだ。
「あら、やめて良いの?」
そう言うと、腰の動きをピタリと止めてしまった。するとすぐに物足りなさが襲って来て、先ほどまでとは逆に、快楽が無いという状況に耐えられなくなってきていた。
「ねぇ、黙ってたら分からないわよ。……やめて、良いの?」
答えは知っているのよ、とでも言いたげな笑みで問いかけてきた。その見透かされたような態度に苛立ちを覚えたが、それに歯向かってこの行為が終了してしまう方が耐えられなかった。
「あぅ……う……。や、やめないで……ください」
言ってしまってから顔を真っ赤にして後悔した。なんでこんな恥ずかしい台詞を言ってしまったのか。目の前の相手に屈伏してしまったような気分になってしまい、恥ずかしくて仕方がなかった。
「はい、良く出来ました」
ひと際大きく突き入れられた。
「ひあぅ!」
情けない声を出しながら、あまりの刺激に耐えきれず抜いてしまおうとしたが、腰の辺りを掴まれ、逃げる事が出来なかった。自分の体に、どこにそんな力があるのか疑問に思ったが、よく見ると、さして力は入れていないようだ。どうやら支え方のコツのようなものを知っているだけのように感じられた。しかしそれは、目の前の自分がいかに男としての経験が多いのかを意味しているように感じられた。
「あら、気づいた? そうなのよぉ。最近、こうやって男の子としてエッチするのにはまっちゃってて。空っぽになる直前までこうやって出して、最後に元に戻って吸い切るのよ。普通に吸うよりずっと楽だし、何より楽しいのよねぇ……」
言い終わるが早いか、突然腰の動きを速める。それに合わせて、それまで水音しか響いてこなかった股間から、肉のぶつかり合う音が聞こえてきた。
「うぁ! はっ! やっ! あぅ!」
腰がぶつかるたびに意識が飛んでしまいそうな快楽が突き抜け、合の手のように声が漏れてしまう。
「そう、それそれ。そうやって何も分からないまま屈伏していく姿がたまらないの。ほら、とりあえず一回目、出してしまうわね」
直後、腰が深く突き入れられ、中でビクビクと何かが跳ねている感覚が伝わってきた。
それまで一方的にもてあそんでいた目の前の自分が、珍しく顔をしかめさせ、うぅ、と小さく呻いた。その動作から、中に出したのだという事が理解出来、ようやく終わってくれたという安堵の気持ちが心に広がっていた。
しかし不思議な事に、終わってしまったのだという物足りないような気持ちも少しばかりあり、確実に頭を混乱させていた。
そうして悩んでいると、すぐにそんな疑問に頭が回らなくなる事態となった。いつまでも抜こうとしないので、どうしたのかと思っていたら、再びそのまま腰を前後に動かし始めたのだ。
「んん……! 先端が敏感になってる……。出したばかりだからねぇ。でも全然小さくならないんだからあなた、たいしたものだわ。このまま二回目に入っても良さそうね」
それを聞いて、今度は明らかにと期待と喜びが胸に広がる。刺激に慣れてきたのか、それとも一度精を体に受けたからなのか。いくら考えても答えは見つからなかった。
先ほどと同じように腰を打ちつけられる。しかし先ほどと違って、快楽を素直に受け入れている自分がそこに存在した。
「うぅ……。お願いします。もっと激しく……」
もっと――もっと激しく。そう思っていただけのはずなのに、いつの間にか口に出していた。その言葉を聞いて、実に満足そうな表情を浮かべている自分の姿を見る事が出来た。
「ふふ、堕ちちゃったのね。良いわよ。人生最後の経験なんだから、好きなだけ身を委ねなさいな……」
「……ふぅ。すごかったわぁ。これで七回目。新記録じゃないかしら。自慢していいわよ、あなた。もっとも、もう自慢なんて出来なくなるんだけど……。流石に精が残ってないからフラフラだわ。さ、体を入れ替えて、人生最後の一回を楽しんでちょうだい」
そう言って手を伸ばしてくる。その行為が、この快楽の終わりを告げるのだと思うと、虚しさが押し寄せてきた。
「……嫌だ」
いつも通りの手順だという油断があったのだろう。差しのべられた手は簡単に掴み取る事が出来た。そのまま体を思いきり起こし、逆に相手を押し倒す。
目の前の自分が状況を把握した時は既に遅かった。それまでとは逆の、いわゆる騎乗位のような形になり腕を押さえ付ける。
「な……! ちょっと、何する気よ!」
初めて見せる焦りを帯びた声だった。しかし、そんな事に一切関心を向けずに腰を動かす。今興味があるのはただ一つ。相手のモノを探り当て、再び挿入させる事だけだ。
「やだ……。まだ足りないよ。もっと……。もっと感じたい……!」
モノの位置を探り当て、それに向けて腰を動かす。ヌルリとそれが入り込むと、突然、それまでの言動からは想像もつかないような取り乱し方をしだした。
「やっ! やめなさい! 次出したら! やあ!」
快楽を堪能する自分。狼狽する相手。見事に最初と真逆の流れだ。
必死に体をよじらせ、なんとかして抜こうと苦心するが、精根尽きかけた体ではろくな力を込められないのだろう。しかも、がっちりと体を固定されており思うように動かす事もままならない。そうこうしているうちに、射精感が高まってきたのだろう。
「やだ、イク、イッちゃう! 助けて! 見逃してあげるから吸わないで! 本当にイくとダメなのよ!」
いくら必死に懇願されても全く関係ない。命が惜しくてこんな事をしているのではなく、ただ純粋に女――いや、サキュバスとしての快楽に目覚めてしまっているだけなのだから。
「な、んで……」
最後の射精と同時に、急激に声が弱々しくなっていく。それまでの激しい抵抗も嘘のように消えてなくなり、ぴくりとも動かなくなった。
「あ、しぼんじゃった……」
足りない。
もっともっとこの体を堪能したい。
そのためには――、自分はサキュバスだった。じゃあ、男を探しに行けば良いじゃあないか。
その瞳はいつの間にか実にサキュバスらしく、男を獲物としか見ていない妖しい輝きを放っていた。
部屋には、自分だったはずの干からびた死体だけが、静かに横たわっていた――。
« 金髪縦ロールを書き終えた | ホーム | 彼は並行世界で金髪縦ロールのサキュバスのようです3 »
サキュバスの体、求む
楽しませていただきました!
良かったあ、入れ替わりにあんな弱点(?)があって。
数回楽しんだだけで消されてしまうんじゃあ、物足りないですからね。折角魅惑的な身体を手に入れたんだから、時には主導権も握って、貪るだけ貪りたいもんです(^^)
サキュバスはわたしの憧れのひとつですよ。
前世かもしれません(爆)
nekome | URL | 2009-03-31(Tue)20:57 [編集]
>nekomeさん
ありがとうございますw
ネタで書き始めた事もありいささか苦労しましたが、どうにか書ききりました。
たまにはハッピー(?)エンドも良いかと思ってこんなオチにしてみた限りです。
前世がサキュバス……ちょっと羨ましいw
まろんど | URL | 2009-03-31(Tue)23:18 [編集]
トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |